2014年08月19日

中国投資、中国貿易にリスクがあるのは当たり前

中国で外資たたきが露骨になっているようだ。
産経新聞から引用する(共同配信であるが)。

引用ここから====
「十分な聞き取りなく、脅すような」中国の独禁法調査を批判 EU商工会議所が声明
2014.8.13 21:52

 北京の欧州連合(EU)商工会議所は13日、中国当局が独占禁止法に基づき外資系企業への調査を強化していることに懸念を示し「十分な聞き取りもなく、脅すような手段で、企業に処罰を受けることや改善策の実施を強いた例がある」と批判した。

 声明は「外資系企業が狙われている」と調査への疑念が高まっていると指摘した。予断を持って調査をせず、企業が抗弁する権利も保障するよう求めた。

 中国当局はドイツのメルセデス・ベンツや米クライスラーのほか、日系12社も対象に独禁法違反の調査をしている。

 中国メディアによると、上海のベンツのオフィスには調査担当者が抜き打ちで訪れ、パソコンに保存されたデータなどを差し押さえた。アウディを販売する独フォルクスワーゲン(VW)の中国合弁企業には18億元(約300億円)の罰金を科す見通しだと報じられている。(共同)

引用ここまで====

もう一つ、読売からも引用する。
引用ここから====
中国、「外資たたき」の様相…企業側に警戒感
2014年08月17日 10時27分

 【北京=五十嵐文、栗原守】中国で外資企業や外国製品に対する摘発や排除の動きが相次ぎ、「外資たたき」の様相を呈している。

 国内産業保護の狙いや、愛国主義の高まりなどが背景にあるとみられ、外資企業側に警戒感が広がっている。

 「利益の前では国際企業も重大な欠陥をさらけ出す」

 広東省深センの小売り最大手、米ウォルマート・ストアーズのスーパーで保存期限切れの肉を使った食品を売るなどの疑惑が浮上した直後の今月9日、国営新華社通信はさっそく外資企業を批判する論評を配信した。

 今回の疑惑は、上海の米国系食品加工会社「上海福喜食品」が品質保持期限切れの肉製品を出荷していた問題と同様、従業員の内部告発に基づくテレビ報道で発覚した。中国メディアは、外資企業に「超国民待遇」(新華社通信)を与えて経済発展を実現する時代は終わったなどとして、外資をこれまで以上に厳しく管理するよう主張している。

 外国大手を標的にした動きは食品業界だけではない。中国で価格カルテルなどを取り締まる国家発展改革委員会は今月6日、日本の自動車関連企業12社や、独アウディ、米クライスラーなどを対象に、独占禁止法違反容疑で調査を進めていると明らかにした。日米欧の高級車や部品の価格が不当に高く維持されているとの疑いに対しては、「中国の輸入品にかける関税が高いため」との見方も強い。
2014年08月17日 10時27分 Copyright コピーライトマーク The Yomiuri Shimbun
引用ここまで====

二つも引用したので長くなってしまったが、中国が外資たたきを国内産業の優遇のみならず国内の不満をそらす材料としている様子がわかる。

自動車業界だけでなく、食品偽装の話題も考え合わせると二つの仕組み(手口)が見える。

一つは独占禁止法やらなんやらで法律を恣意的に作り恣意的に運用することで外資系企業を叩くことだ。反論を認めないというのだから相当なものだ。
ダンピングならともかく、輸入部品が高いからと罰則を適用する、しかも問答無用というのは現代国家がやることではない。これが法にのっとっているというなら気に食わなければ何でもできるという願望を実現できる法体制になっているということだ。
当然外資を叩くことで膨張した中国人民の国粋主義的なプライドをくすぐることにもなるのだろう。

もう一つは、中国企業の責任を巧妙に外資企業に擦り付けることである。
外資が入っているからといって、そこで働いているのは中国人でありそれは「外資系中国企業」なんである。経営者のごく上位には外資の上の方から出向してきた人もいるかもしれんが、現場にまで欧米や日本の人が入り込んでいるはずがない。滞在費まで払って時給の高い人間を投入する理由がないからだ。
食肉偽装を例にするなら、でたらめを指示したのもやったのも中国人であるのだ。そこをごまかして外資企業がやった、悪いのは外国人だとやるわけである。
この手口は稚拙といえば稚拙。中国人民の方が上を行っている。

期限切れ肉の使用どころか、床に落とした肉、腐りかけた肉(腐った肉?)を使っていたと報じられた騒動である。日本向け食材について中国側では「問題があるものは日本には出荷していない」と言い訳をしていたが(それは事実だとは思えないし、事実なら中国人民は怒るべきだ)、それでも日本での売り上げは落とした。日本マクドナルドは中国以外の調達先確保を言明し実行した。
ところが中国ではマクドナルドに行列ができたという。
「少なくとも肉を使っているじゃないか。それが証明された」だそうである。
つまり、中国では一部の富裕層・都市生活者が食べるものは別として、たいていはもっと怪しげなものを食べるほかないらしいのだ。
様々な肉を刻んで練ったものが加工食品として流通しているという。羊やら鶏やらいろいろはいっていまっせ、ということらしいが、この材料がまともな畜肉であるはずがなく、病死した家畜の肉ならまだしも毒殺された鼠、あるいは肉ではないものも使われているとされる。食べる側もそんなものだろうし、それしか買えないからあきらめて買う。それに比べれば鶏肉を使っているというマクドナルドすんばらしいということなのである。期限切れや床に落としたなんてことは問題ではないということだ。

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さて、中国に進出する海外企業あるいは中国から輸入する企業として今回の騒動は青天の霹靂なのか。「あらびっくり」であるのか。
もしそうなら認識の甘さは覆いがたいわけで、株主としては納得がいかないのである。株主じゃないけど。
正直なところ企業に同情できない。

鶏肉騒動に見られる衛生意識、品質意識について、いくら検査や従業員の教育をすると言われても信用できるだろうか。肉であれば床に落ちようが腐っていようがいいじゃないかという人々である。さらに他人によりよい仕事で奉仕するという発想ががない。
それが中国の発想であるなら外部からどうのこうの言うべきではなかろう。ただ、それを日本に輸入するということはリスクを考えているのか問われねばなるまい。
当然ことがあらわになれば日本の消費者は100%の否定をするだろう。

また、自動車部品のように恣意的なルールを適用される問題については、そもそもわかっていたことではないのかと言いたい。
相手は独裁国家だ。国力が高まるにつれ国際ルールもなんのそのやりたい放題が続いている。
記事によればフォルクスワーゲンは300億円の罰金という。いくら単価の高い自動車といえど、300億円の利益を得るために何台の車を売らねばならないのか。中国当局はなんの努力もせずに巨額の罰金を懐に入れるというのに。

こうしたリスクがあることは昔からわかっていたことではなかろうか。
そのリスクに賭けることは妥当な経済活動なのか問われなければなるまい。記事では経済団体が反発しているというが、そんなものが独裁国家に通用することとも思えぬ。対抗手段もなく、貴重な利益を吸い上げられるだけではないのか。

昨今の国際・経済環境の変化を受け、日本からの中国投資は若干減少しているというが、欧州を中心にその巨大な市場・資源・労働力を期待する動きが優勢だ。先に英国は中国に膝を屈して、君主である女王が格下の中国首相と会談し、トップセールスを行った。相手が小手先ひとつで300億円を1企業から奪い取る国であろうとも。

とにかく利益拡大、シェア拡大、売り上げ売り上げと奔走する企業経営も意味があるのかもしれないが、それを中国に託すのは危険ではないのか。1企業がそういう戦略をとるのは勝手といえばその通りだが、企業が傾こうがいざというとき資産が没収されようが従業員が人質になろうが泣かないでほしい、国に負担をかけないでほしいと思う。
堅実な規模で堅実な経営をする優良企業は多々ある。拡大だけが戦略じゃあるまいし。
むしろ、製造業であれば「わが社の製品を中国に持ち込むことは違法です。中国国内で発生したあらゆる問題についてわが社は関与しません」と製品に刻むくらいの気概があってもいい。

先に株主総会が行われたとある有名企業では株主から中国へ傾倒する戦略に批判が出たそうだ。経営陣からは信用してくれの一点張りだったそうだが、本当に信用できるのかは疑問だ。

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むろん、私の意見を感情的、偏っていると思われる方が多いだろう。
だが一度冷静に考えてもらいたいと思うのだ。
経営者として妥当な判断だろうか。
株主として、消費者として妥当な判断だろうか。
posted by Mozzo at 09:58| Comment(0) | TrackBack(0) | まじめな正論! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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