産経新聞から引用する。
引用ここから====
景品の中国製マグカップで相次ぐ破損、けが人も ローソン、キリンビバ
ローソンが2013年秋に配布した「リラックマティーマグ」。これも中国製で熱湯を注ぐと破損する恐れがあることがわかった
キリンビバレッジが紅茶飲料の景品として配布した中国製マグカップで、熱湯を注ぐと破損する恐れがあるとして27日、自主回収に入った。昨年12月にはローソンが景品として配布した中国製マグカップで、ほぼ同様のトラブルが起きた。両社のケースとも苦情の連絡が多数あり、やけどを負った人も出て回収騒動となった。
破損の原因ははっきりしていないが、ともに中国製で、破損の症状が酷似している。
キリンビバレッジは今月中旬から紅茶飲料「午後の紅茶」の景品として、ミッキーマウスや「アナと雪の女王」などのディズニーキャラクターがプリントされた6種類のマグカップ合計30万個を配布した。もらった人から「熱湯を入れるとひびが入った」などの苦情が計10件あり、1人は軽いやけどを負ったという。
キリンビバレッジではこれを受けて自主回収を決め、マグカップ1個に対して、500円分のクオカードと交換する。
一方、ローソンでトラブルが起きたのは昨年の秋のフェア。9月から11月にかけてパンなどに貼られた応募シールを集めた人に、「リラックマティーマグ」を店頭で173万個、配布した。
このカップでもやはり「熱湯を注ぐと劣化して破損」しており、昨年12月2日にローソンが公表した時点では、7人がやけどや、すり傷などを負い、病院で治療を受けた人もいた。
カップは凸版印刷を介して委託先の中国の工場で製造された。専門家の調査では構造上の欠陥は見つからず、破損の原因は分からなかった。ローソンでは希望者には代替品と交換する対応をとった。
引用ここまで====
このマグカップが陶器か磁器かは写真からはよくわからぬが、状況からして製造不良は明らかだろう。
こうした工業的に大量生産される陶磁器は、どこぞの最適な粘土でというわけにはいかぬ。高価で希少な材料だからだ。
長石や石英をはじめその他の鉱石やリサイクル材料で成分を調整して(この時点では粘土というには程遠い粗さである)、水と鋼球を加えて大きな回転する釜のような機械で長時間すりつぶす。
そうしてできたどろどろの液体(泥漿という)から大きな粒をこしとったり水を抜いたりして粒子の大きさが細かくそろった粘土状に仕上げて材料とするのである。
これであとは成形すればとはいかない。
伝統芸能では菊練りと称する職人の技で時間をかけて練り上げ粘りを出しつつ空気を抜くのだが、大量生産品ではそんな手間はかけられない。
空気を抜きながら混錬できる特殊な機械を使い、生地を棒状に成形する。その後切断し連続式のろくろで一個ずつ成形、乾燥する。素焼きし絵つけ、釉薬をかけさらに乾燥する工程を経て本焼きになる。素焼きと本焼きの工程では徐々に温度を上げ徐々に下げねばならない。
この工程のうち、材料を配合する工程、すりつぶし粒子をそろえる工程、混錬する工程、成形する工程、乾燥する工程に手抜きがあると今回のように使用時に割れてしまうひずみが製品内にできてしまう。焼く工程でもその場で割れずひずみをためることがあろう。
手抜きがあったのである。それは明らかである。
こうした不良品が出ないように日本の工場では工程をきちんと管理しているし、製品検査も厳密である。上記の工程を読んでもらえばわかると思うが手間も時間もコストもかかるのである。
あの有名な峠の釜めしの容器を作る工場でも品質管理は厳密である。基本は使い捨ての商品であるからコストダウンの要請も強いだろうが製造現場では一つずつ叩いて確認している。
中国側にクレームをいれても200万個のうち100個や200個の不良品でがたがた言うなくらいのことをは言うだろう。いや不良品とも認めないだろう。いきなり熱湯を入れたら割れるのだとか落としたのだろうとか輸送中の問題だとか。
この対策コストは配布したローソンやキリンビバレッジあるいは元請の凸版印刷が被ることになるのだろう。対策コストよりもイメージダウンの方がダメージは大きいに違いない。
まぁ中国製品であるから驚きもしないが。
まともに作る技術か熱意が足りないのかもしれないし、どうせ日本人が使うんだと手を抜いたのかもしれない。偏見は持ちたくないと何度も自省するのであるがその先を行く不良品を個人的にも見るだけに。
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問題は、こんなことになるのはわかっていただろうにということである。
危機管理ができていない。
景品だからコストを下げたかったのはわかるが中国丸投げではいかん。中国で作るなら全品叩いて熱湯入れて検査し、抜き取りで落としてみるくらいのことはやらないといかんのではないか。
いや、そもそも飲食物にかかわる企業が飲食物を入れるものを中国に委託した時点でリスク満点イメージ低下なのである。そこがわかっていない。
コストがかかって数が作れないなら、少数でも価値が出るようなものを作れば宣伝効果はあるのである。数を減らしてもロイヤルコペンハーゲンとかそういうブランドにしたらもっと宣伝効果はあったに違いない。
われわれ消費者はそういうところにも目を光らせねばならんだろう。
企業も製品自体の産地だけではなく景品や使用している資材(容器・包材など)の産地にも気を配り、消費者に公開していくくらいの潔癖さが求められるのではなかろうか。