2015年02月01日

厚生労働省の残業規制という妙な話

間違っているわけじゃないけど何とも釈然としない報道。
読売新聞から引用する。

引用ここから====
「今度は本気」…厚労省、22時以降は残業禁止

 「休むのも仕事です。今度こそ本気です」

 厚生労働省の長時間労働削減推進チームは、こんなキャッチフレーズで「働き方・休み方改革推進戦略」をまとめた。同省職員の長時間労働を改善するためで、職員は原則として毎日午後8時までに退庁する――とした。やむを得ない場合でも、同10時までには退庁する。実施状況は全職員の人事評価に反映するという。

 法令審査や国会業務などを扱う大臣官房などが3月から半年間、先行実施する。10月以降、全部局を対象とし、10時以降の残業が禁止される。戦略では、これらを「厚労相主導の下、半ば強制的に実施する」と明記した。危険な感染症の発覚など突発事案が発生した場合などは例外とする。

 同省は、社会保障と労働行政を抱え、霞が関の省庁でも残業が多いとされる。一方で、民間企業の長時間労働の監督指導を行うことから、塩崎厚労相が音頭を取って改善に乗り出した。
2015年02月01日 10時28分 Copyright コピーライトマーク The Yomiuri Shimbun
引用ここまで====

釈然としない点は二つある。

一つはどうも論理が雑に見えるのである。
短い記事ゆえこれですべてを判断してはいかんのだが、「残業を禁止」だの「人事評価に反映」だの結果に対してのみ物を言っているように見える。

問題があるというのは原因があっての結果なのである。
なにが原因なのか分析もせず、原因をなくすことは現場任せのように見える。
それで結果だけを求めれば下手をすればサービス残業だの仕事持ち帰りだのそういうことにつながる。

皮肉を言えば一部官僚が深夜まで残業する例として大臣がいきなり議会の質問の回答案を作れと命令してくるからというのもあるのだ。その原因をつぶさねばならないのだが。
ことに状況を変える権限というのは一部の上位の人しか持っていない。たとえば民間企業なら「XXさんの仕事は手間がかかるばかりで儲からないから契約を打ち切ろう」という判断は現場の人にはできない。現場は文句を言うことはできるが決定できない。決定権のない人が長時間労働に苦しめられているのである。

そもそも何が残業の原因になっているのかさっぱりわからない。
ホワイトカラーの公務員というのは、民間の視点から見ればゆっくり仕事をしているようにしか見えない。人も余っているように見える。すべてを見たわけではないが、民間の会社のように忙しく動いているホワイトカラーの公務員を見たことがない。
だらだらと非効率的にやっているから残業になるのではないか。

また、役所と言えば意味もなくややこしいルールや書類である。わざと物事をややこしくしてそれに従ったりチェックしたりということで意味のない仕事をつくりだしていないか。
民間企業であればコストを意識するので、コストに見合わない仕事も人員も取り除かれる。ところが売り上げがあるわけではない役所とか、個人で見えている範囲と企業の規模が乖離している大企業など、自分の仕事を確保せんがために意味のない仕事を増やしているように見えるのである。

はてさてそのような観点で点検をしたうえでのことなのだろうか。

もう一つは、役所から環境改善なのかい!という半分妬みともいえる腹立たしさだ。
先憂後楽という言葉がある。為政者の心得を説いた言葉である。為政者たるもの民に先んじて憂い、民の後に楽しむということである。役人は為政者ではないがその周辺にいるものとして同じ心構えでなければならないのではないか。こんなことだけ率先してどうする。

まず一般の国民の長時間労働を解決してからだろう。
先の話とかぶるが結果だけを企業経営者に求めることしかやっていない。残業規制だなんだのとルールはできているが結果を押し付けるだけだから結局苦しむのは現場の労働者だ。
残業禁止と口で言うのは簡単で、企業の中には定時になると電燈を消すなんてのもある。定時で帰って仕事が終わらなくても許してくれるならみんな帰るだろう。そんなわけはない。しかたなく暗闇の中で仕事を続け、ほとぼりが醒めたあたり(つまり能天気な管理部門がさっさと帰ったあたり)で電燈をつけて残業するのである。

企業経営者だけで解決できることでもないのである。
取引先は安い単価でぎりぎりの納期でと厳しい条件を突き付けてくる。単価を上げるのが無理でも発注を早くしてくれたら効率的に仕事ができるのに、無駄な発注になるのを恐れて状況を見極めてぎりぎりまで発注しないのである。
指定した時刻に納入せよ、遅くても早くてもいかんと言ってトラックの運転手に長時間労働を強いている例もある。
それを断れば仕事は取れない。
一つの会社だけでは解決できないのである。
発注側を規制すべきだが「それでは海外企業と競争できない」というだろう。
最終的には「不当な過酷労働で生産されたものを買ってはならない」ということを国際ルールにせねば解決しない。
そんなことを民間ができるはずもない。
それをやるのが政府や官庁であろうに。
posted by Mozzo at 12:53| Comment(0) | TrackBack(0) | まじめな正論! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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