2015年07月01日

新幹線の焼身自殺事件 セキュリティ対策なんてできるのか

恐ろしい事件が起きた。
新幹線で71歳男性が油をかぶり、おそらく焼身自殺と考えられている事件である。

第一報ではトイレ付近で火事とのことで、トイレで喫煙したための失火かくらいに思っていたのであるが、続報で男性が死亡、女性が重体(のちに死亡)という情報が入ってきた。男性が油をかぶって火をつけたという情報も入ってきた。
それは自殺かある意味自爆テロみたいなものである。
果たしてこの亡くなった女性は心中相手なのか、あるいは巻き添えを食ったのかとどんどん理解不能な情報が入ってきた。

6月30日深夜時点の報道で情報が整理されつつあり、おそらくこの男性が単独で焼身自殺、死亡した女性は巻き添えを食ったらしい。年齢も住所も全く関連がない。近くにいたため煙を大量に吸い込み、途中で力尽きたらしい。

事件前に自分の持っている千円札を他人にやろうとしたり、奇矯な行動をしていたらしい。千円札を押し付けられそうになった人は断ったが、発火したときにこの犯人はその人に逃げろと言ったという報道もあった。
死ぬ覚悟は決めたのだけど、持っている小銭が気になったのか。何なのか。理解不能である。

正式に動機はまだ不明だが、まぁ自殺ということか。自殺の動機はわからぬが。
JR東海に深刻な恨みを持っていてというならまだわかる。もちろん許せるという意味の分かるではなく、異常な思考とはいえつながりがあるという意味だ。
そうでなかったとしたらこんな方法をとった理由は理解しようがない。
自殺をしないのが一番だが、避けられないならどこか人里離れたところで死体も発見されないような場所で一人で死んでいただきたいものだ。

亡くなった女性が巻き添えを食ったのであれば死んでも死にきれまい。異常な(と言い切ってしまうが)自殺願望の巻き添えか。

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自殺というと富士山麓の青木原樹海が有名ではある。1人でひっそり死ぬ、だれにも迷惑かけないというイメージだが嘘だ。お勧めしない。
大変に地面が険しく、登山などアウトドアの熟練者でなければせいぜい道路から150mくらいしか入り込めないらしい。
死ぬ前に静かなひと時をなどと考えて酒やらなんやら持ち込もうと荷物が増えればなおさらだ。
首吊りに向いた木もないという。みな巨木で木登りの達人でなければロープを掛けられないという。
有名がゆえに定期的に捜索の手も入り、すぐに自殺の事実は周囲に知れる。人知れずなんてことは無理らしい。

よっぽどの覚悟があれば可能らしい。洞穴で入り口を偽装し、中で即身仏になっていた人もいるとか。その覚悟があれば。それでも見つかっちゃったわけだが。

死ぬ前にひどい苦労をしたり楽に死ねなかったり動物に襲われたりすぐに見つかって世にさらされたり。やめておいたほうがいい。

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実は最近新幹線の話を書いた。基本的に新幹線は安全だけれども抜けはないか。安全確保をと願って書いた。
http://mozzo-expresso.seesaa.net/article/420916813.html

この事故は心底恐ろしいと思う。
無論、(これは大変に冷酷な言い方だが)死者・負傷者の数からいえば大惨事とは言えまい。死んだり怪我をしたりというのは、事故の規模で測ってはいかんとは思うが、これよりも規模では悲惨な事故が国内外を問わず多々起きている。

ただ、新幹線というのが恐ろしい。
高速で走る密室なのだ。
新幹線は大型旅客機並の気密性を持っている。高空を走行するわけではないが、トンネルに突入するとき大変な気圧変動を受ける。気密性がなければいちいち鼓膜が悲鳴を上げる。下手をすれば耳がやられる。
そのため初代の0系のころからトンネル突入時に外部と遮断する機能があった。また車体全体が機密構造になっていて(換気装置以外から空気が出入りしない)、ドアを閉めて換気装置を閉じると、車内に圧力をかけても外に漏れ出さないという(そういう試験があるのだ)。ゴム風船並に空気が漏れないようになっているわけだ。

これが火災時には裏目に出ることだろう。火災でもくもくと出る煙は電動の空調で対処できるものではない。火災が起これば停電の可能性も高まる。窓をがばっと開けねば窒息だ。これが今回起きた。

繰り返すが新幹線は鉄道として安全に走り安全に止まるという意味では大変に安全だ。世界に誇るシステムだ。だが二点について疑問がある。
・万が一の事故が起こった時事故を拡大させない観点で安全なのか
・悪意を持った攻撃に対して安全なのか

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マスコミは鬼の首を取ったように「テロに対する脆弱性」を言い出した。わかっていたなら最初から言え。セキュリティチェックをしないJRに対して批判キャンペーンをやっていたのかね。ふざけるな。「そこを追求しなかった我々報道も同罪だ」と認めてからテロに対する脆弱性を論じる権利がある。

私も新幹線の安全が重要課題だと考えていたわけではない。先の記事の通りうすぼんやりと考えていただけだ。私がいくら警鐘を鳴らそうとJRは耳を傾けるような企業ではないが、自分の問題として認識の甘さは反省したい。
たしか航空機に比べて意識が低いという話を読んだ記憶がある。
そりゃ壊れたら落ちる航空機と、壊れたら止まるだけ(大いに困るが)の新幹線では差があるよねと思ってさらっと流してしまったが今から思えば示唆に富んだ指摘であった。

引退したパイロットが新幹線を批判していた。
当時(たぶん300系が出始めたころだと思う)と今では違うのだろうが、安全にシビアなパイロットの視点で見ると新幹線車内はとがっているものが多いというのだ。コートを掛けるフック、手すり、壁に掲げられた表示板(指定席とか書いてあった。今はLEDか)。航空機であればすべて角が丸められ、凹凸は極力なくされているという。
仮に人がすっ飛ぶほどの急制動がかかるような事故があったとして角が丸められている手すりが顔に当たったら青タンができるくらいで済む。だが角がとがっているとか、丸められていても細い物があれば大怪我につながる。
新幹線の窓近くに取り付けてある席番号のプレート。今は違うかもしれないが私の記憶ではざくっと切り出したプラスティックの板がリベットかなんかで止められているだけだった。無論、バリバリにとがっているわけではないがプレートの角はRがせいぜい数mmだ。ここに皮膚を強くこすりつけたら。また先端が丸いとはいえコートを掛けるフックが目にぐさりと入ったら。丸いから大丈夫とはいかぬ。

航空機とて完璧ではないとは思うが(CAが宙を飛んできて首の骨が折れるような事故が起きないとは限らない)、航空関係の視点から見て新幹線は危険だというのだ。

私はこの記事を読んで「まぁ新幹線は墜落しないしね」と思っていたのであるが、そうではないことがこの事件でわかった。

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まぁ泥縄であろうが後だしじゃんけんであろうが弱いところが批判され改善されるなら悪いことではない。
オリンピックを控えていることだし、セキュリティを高めよう。航空機並に高めようという主張も見られる。
だが一方でそれは無理という主張も見られる。

日本の新幹線は高速、定時性も世界を驚かせたがそのキャパシティも恐るべきものがある。
東海道新幹線の1編成は千数百人の定員だという。平均80人以上乗れる車両が16両。これがピークには3分間隔で発車するわけで、その編成が満席立ち客が出ることもありで。クレイジーと言えばその通り。

時速200qを大きく超える高速列車という領域は日本の新幹線が切り開いたとされる。
それ以前でも時速200qを若干下回る程度でも高速列車と言われていたわけであるが、新幹線が登場しその路線を踏襲する形で各国に高速列車が登場すると意識が変わった。
フランスのTGVを皮切りに英国、スペイン、ドイツ当たりが高速鉄道を手掛け大きな成果を出したので他国も追随している状況にある。
高速鉄道に対するセキュリティは国ごとによって違う。今回の事件ではスペインの高速鉄道Ave(鳥の意)が比較に挙げられる。かの国では航空機並のセキュリティで臨んでいるそうな。

一面的には正しい。日本も同じことをせよというのは正論である。
だが、利用客の数が多いうえにみんな急いでいる。
JRは携帯端末でさくっと指定券が取れることを売りにしている。
東京の会社で会議をしていて「よし明日は大阪だ」と急きょ決まり、会社から東京駅に向かう間に携帯端末で指定券を予約。そのまま滑り込むように新幹線にのり、翌朝は大阪で仕事、なんてことを売りにしているのである。
航空機のように「搭乗2時間前までにお越しください」なんてことが通用する世界ではない。
東京から大阪に出張となったら数日前からチケットを押さえ、当日は移動用に休日を取って備えるくらいの「大旅行感」で臨めるのかということなのだ。
だが、現代の企業人は「大阪某所の会議を21時までに終わらせれば新大阪発の最終にに間に合うよね。翌朝10時までに資料はできるよね」という行程を平気で計画する。私は異常だと思うが。

Webサイトや自動券売機で指定席をとりすぐ乗れることで、移動が決定してから到着するまでの時間が短縮されるのである。座れなくともよければ自由席でもっと柔軟だ。来た列車にのればいいからだ。これが新幹線の売りであり、飛行機との競争を可能にしているのである。
新幹線と飛行機を比較すれば路線にもよるが正規運賃で若干安い程度である。割引チケットがあまりないから価格では競争に負ける。
当然飛行機よりは遅い。新幹線はせいぜい300q/h代、飛行機は900km/h程度である。だからこそ「速くないけど早くつく」ことが大事であるのだ。

飛行機並のセキュリティ対策を講じたら飛行機に客が流れるだろう。「安くなくて 速くなくて 早くない」のでは勝ち目がない。飛行機のチケットが取れないときに「しょうがない、新幹線で行くか」ということになろう。
しかもセキュリティチェックにかかる時間は移動距離と関係なくほぼ一定だ。超郷里移動をする人は荷物が多いから若干かかるという程度か。
そうなると、近距離移動(たとえば名古屋東京間)になれば相対的にセキュリティチェックの時間が長いということになる。
今後リニア新幹線が開業したら、名古屋まで40分、セキュリティチェックに1時間ということだってありうる。何のためのリニアか。

利便性を取るか安全を取るかと問われれば安全を選ぶ人が多いだろう。だが使い物にならなければ意味がないし、どちらをとったにせよ別の選択をすることができない。
「私は利便性を取るからセキュリティは低くていい」と思う人と「時間がかかっても完全なチェックを」という人が同席したら意味がない。

急げ急げ、無駄時間をなくせという風潮を改める時期なのではなかろうか。
旅行も出張も事前に慎重に検討するのが常識としたい。出張は前のり(用事がある日の前日に宿に入る)かつ当日も泊まる。
たとえば東京の会社員が大阪での会議に出席するとしよう。
会議は11時から。昼をはさんで別の会議やらなんやら。先方と親交を深めることになっていて「18時から20時まで軽く食事でも」なんて日程。
現状たいていの会社で間違いなく日帰り出張だ。
当日早めに家を出て、8時ごろののぞみで大阪へ。新大阪から移動して11時の会議。
懇親会に出席して話が盛り上がり、20時の予定が20時半。「もう終電ですから」と新大阪にタクシーで駆けつけて東京駅にまっしぐら。日付も変わろうかという時刻に到着で部長が嫌な顔をするのをわかっていてタクシーで帰宅。果たして交通費電溶は通るのだろうか。
新大阪から東京までも一睡もできない。営業資料をノートパソコンで作って東京駅から送信だ。
現実にこんなことをやっているのだ。これを可能にする新幹線の信頼性は素晴らしいのだが、はたしてこれでいいのか。

そもそもそんな急いでいる人が悠長に物理的な移動(人間が移動する)をしている場合かと思う。
メールもあるしテレビ会議もある。
営業関係の人に多いのだが「きちんと対面して話さないと心が通じない」とか精神論をぶって、客先まで出向くという人が珍しくない。メールで済む用事でもだ。
何となくいいことのようにも聞こえるがその人と応対する側も時間を消費するのである。はっきり言って迷惑なのである。心が通じてない。
また、「いきなり本題に入らず世間話で場を温めてから」ということを言う人も多いのだが、応対する側は「おまえは無駄話に来たのか 本題に入れ」と思う人も多かろう。ゴルゴ13なら話を遮って「用件を聞こう」というところだ。

この事件はセキュリティの向上を訴えているのではなく、移動をキーワードに我々の社会の変革を訴えているのではなかろうか。
新幹線はゆったりとした日程でゆったりと両行する人、ただ遠いところに旅行するためのものに変革していくべきではなかろうか。
セキュリティチェックが厳しいという海外の高速鉄道は同時に座席もゴージャスだ。
対面式のクロスシートで間にテーブルがあり、両側でノートPCが拡げられるほど広い。テーブルに新聞を広げている人もいる。それだけシートピッチが広いのである。
日本の新幹線は普通車はきゅうきゅうに狭い。グリーン車は若干ましだが、海外の高速鉄道の2等車並であろう。
こうしたことも変えていく契機になる。
まぁJRの売り上げは下がる提案だが、あんな養鶏場みたいな狭い座席を高く売ってもうけているのでは納得いかない。

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まぁ私のこんなたわごとはJRに届かないだろう。

はてさて、セキュリティ強化の声にどういう動きがあるのだろうか。
航空機並あるいは海外並のセキュリティは無理なんだろう。
さりとて実効性のある代案が出てくるとも思えぬ。
5分前に指定券を買って飛び乗ってくる客が何人、何十人といるのに、それを商売の前提にしているのにどうにもなるまい。チェック役が100人待機するというのも非現実的だろうし。

我々がしなければならないのは、JRがほとぼりが冷めるのを待っているとみたら批判の声をあげることだ。私も継続的に考えていきたい。。
posted by Mozzo at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | まじめな正論! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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