2015年08月05日

横浜の電車事故に学びたい

8/4日夜横浜付近で京浜東北線の架線事故があり、周辺の鉄道交通が大混乱に陥った。
JRの路線は止まり、振り替え輸送を担った周辺の私鉄各線は混雑のため遅延する騒ぎとなった。
と、他人ごとのように書いているが、なんという間の悪さ。こんな日にわざわざはるばる出かけていくなんて。私も巻き込まれたのである。
事故現場近くにいた車両に乗り合わせたわけではないのが不幸中の幸いか。事故現場に近い車両に乗った人は冷房の止まった車内に缶詰めになり、挙句の果てに線路を歩いて脱出。そのまま歩いて最寄り駅まで行ったそうだ。
私は足止めを食らって迂回路を模索し、なんとか移動できたが予定の倍以上の時間がかかったし、迂回路の電車は殺人的な混雑であった。迂回路の電車の料金は免除だったが、疲れ果てて思わず乗った駅から宿泊先のタクシーは自腹である。もう熱中症寸前だった。それでも不幸中の幸いというべきなんだろうか。

事故は悪いほうへ悪いほうへと転がっていたようである。
架線が切れるにしても場所が悪い。

南関東の交通網に明るくない方に説明すると、横浜・品川・東京ってのは大動脈の中の大動脈といっていい。
たとえば横浜から品川に行こうと思えば普通のプランで4ルートある。
一番早いのは東海道線か京浜急行の快速である。どちらも途中川崎に止まるだけではなかろうか。どちらがいいとは言えないが、その先の移動ルートとか電車のダイヤで決めればよろしい(品川から先は全然違うので)。
若干時間がかかるが東海道線の各停的な扱いの京浜東北でもいい。停車駅は多いが同じルートを走る。時間帯によっては空いているとかすぐ乗れるとか利点があろう。
横須賀線も同じく若干時間がかかるが大した違いはない。こちらは途中別ルート(新川崎とか)を回るのでダイヤとか混雑具合や先のルートで決めればよろしい。こちらは場合によっては千葉方面に直通だ。

普通じゃないプランで考えればまだまだある。要するに迂回路だ。
横浜線か市営地下鉄で新横浜に出てそこから東海道新幹線。
横浜線で菊名にでて東横線で渋谷、あとは山手線。いやそれなら最初から東横線だろとか。
横浜線で八王子に出て中央線なんて大回りコースもありだ。
その他相鉄線を使って小田急周りでとか地下鉄使って田園都市線周りでとか、ちょっと理解しがたいルートも迂回路としてありなのだ。

で、今回事故が起きたのは少なくともJRルートの弱点を突いたと言っていい。
横浜から東海道線・京浜東北線・横須賀線・横浜線(横浜・東神奈川間は京浜東北と同じ線路)がでているのだが、今回の事故はその4線が重なる場所をたたいたらしい。
今回は架線事故だから他社線には影響がないが、仮に沿線火災だったら並走している京急も危うい。
複数の路線が走っている弱点をたたいたと言っていい。

さらに、止まった京浜東北線の車両に業を煮やしたのか、勝手に車両から降りた馬鹿者がいたらしい。最初は京浜東北だけ止まっていたのだが、これで並走する東海道、横須賀、横浜線が全部アウトになったらしい。。
35万人に影響とされるうち少なくとも30万人はこの馬鹿のせいだ。

大動脈がぴたりととまってしまったため周辺の路線にも影響が及んだ。
JR私鉄各線は事故があった時に備えて振り替え輸送の協定を結んでいる。
定期券を持っていれば別の会社線でもフリーで通れる。とはいえ自動改札を通れないので改札口は混乱する。
私はどこに並んだらいいのかわからず(こんなこと経験がないからわかりません)、それらしき列に並んでいた。前にいた若い男性に「これ振替乗車の列ですかね」と聞いてみたら「僕もそう思う。。。んですけど」という返事が返ってきた。「これで行列ができるラーメン店だったら笑えますね」とおもわず軽口をたたいたら笑っておられた。ジョークは人生の調味料。

振替で乗った電車は果たして激混みであった。足をつく場所がないレベル。いや足が浮いても倒れないレベルと言おうか。

これまた間の悪いことに横浜地区では同時間帯に花火大会があったそうな。ただでさえ混雑するというのに。周囲には浴衣を着たカップル、幼児連れ、小中高生グループ、騒がしい高齢者グループなど、日頃ラッシュに慣れていない層も乗っていて車内は大変なことになっていた。
それにしても若干酒が入っているだろう高齢者グループはどうにも迷惑だ。
話している内容は中学生レベル、知り合いがどうのこうの。何がおいしいの美味しくないの。耳が遠くなりつつあるから声がでかい。しかも高く澄んだ声でなく茶色い声でガーガー叫ぶようにしゃべる。長年の経験と見識はないのか。お友達がいるのは大変結構だが、こんな老人になるなら一人でいいな。こんな老人にはなりたくない。
中学生もマナーがいいとは言わんが小さな声でしゃべるよ。彼らはそれで聞こえるから。

====
渦中に身を置いて気付いたことがいくつかある。
まず振り替え輸送で混乱する駅も会社によって体制に違いがあるということだ。
たまたま私が見たタイミングの違いかもしれないが、最悪は横浜市営地下鉄だ。振替客でごった返す改札に一人しかいない。この際改札を全部フリーにしてしまえばとりあえずいいのだろうが、事実そうだったのだが、それを客に周知することすらできない。通っていいのかいかんのか確認しながら通る客でごった返していた(こんな時でもいちいち確認する日本人はいいものだが)。
もちろん改札を開放すればいいというものではなく、ホームが飽和したら入場制限をせねばなるまい。あのおじさん一人で何ができるというというのか。

その点私鉄はよかった。
人数を出して窓口を増やし、案内を増やし対応していた。無論車両が混むのは避けられないのだが、改札は順調だったし安全だった。市営地下鉄猛省せよ。

また工夫が見られるなと思ったのが最前線で誘導にあたる人に女性が多いということだ。にこやかな雰囲気で対応していた。
こういう風潮は気に入らないのだが事実として乱暴なクレームを入れるおっさんでも女性にはきつく言えないという傾向があるらしい。蒸し暑い中ストレスが暴走したおっさんが駅員に食って掛かっていたり乱暴を働いたのか警備員に取り押さえられていたのを見た。
これを平和に解決するために女性を前面に立てたということであれば気に食わないけど現実を見ているということになる。

交通インフラは仮に災害が起こっても能力を落としながらでも運営を続けなければならない。混乱を抑えて二次災害を防がねばならない。災害の初期には災害で被害が集中している場所、もともと人が密集していてその後の短期的な安全が危ぶまれる場所から人を吸い出して拡散させる責務がある。
仮に平時に一人で回っているとしてもこの体制はいかがなものか。
横浜市営地下鉄といえば経費削減が課題なんだろうから(いまいち納得できない路線で、料金も高い)、余分な職員を配置できないと役人は言うだろう。頭が悪いからだ。
事業を多角化して日常は周辺の店舗(飲食店とか)に配置し稼がせる。緊急時には臨時閉店で客の誘導に回ればいいのである。そのくらいの知恵を出せ。横浜市交通局に就職して立ち食いそば屋の店員が嫌だとか本人や組合ががたがた言うのかもしれないが、そんなものは黙らせなければいかん、


====
こうしたときに我々利用客は何ができるのだろうか。賢い行動とは何だろうか。

まずは振替を利用してくれとアナウンスされた時点で素直に従うことだ。
現場では葛藤がある。振替ということは通常でも時間がかかるルートだ。しかも人が集中して混むのは必至。
あと20分待ったら復旧するのではないか、いやしないのか。そこの読みがあってなかなか動けない。振替でたどり着いていたら復旧した電車が先に着いていたというのは悲しいと言えば悲しい。

しかし、いったん止まってしまったということはトータルの輸送能力が落ちたということだ。
仮に復旧しても大混雑ということだ。仮に思いのほか早く復旧しそのまま待っていれば早く目的地に着いたとしても振替に乗るべきだ。負荷分散である。
また混乱する駅に居座ることは混雑に加担し、その混乱でトラブルに巻き込まれる可能性もある。混雑混乱からは速やかに離れるのが安全策というもの。群集心理は怖いものだ。

もうひとつ皆さんにもやってほしいのは、窓口や誘導で対応する職員に対して「ご苦労様」「大変ですね」と声をかけてほしいということだ。あ、若い人は「ご苦労様」では失礼。せめて「お疲れ様」というべきだな。
当人の責任でもないのに不機嫌な客にぎろっとにらまれて、下手をすれば怒鳴られたりするわけだ。気の毒で仕方ない。いらいらする気持ちを抑えて、明るく一声かけるのがまともな人間というものだ。

====
この文章を寝かしておいている間に細かい原因が報じられていた。

たいていの人が知っている通り、電車は架線から電気を得ている。正確に言うと架線と線路の間にある電圧差を利用して電流を流しモーターを回したりその他空調照明もろもろに使用している。
なんとなく線路がつながっていれば架線も同じようにつながっているだろうと思いがちだがそんなわけはない。大変なロスを生むし、いざというとき電源を断てば全線で止まってしまう。
またいろんな経緯があって送電されている電圧と種類(交流か直流か、交流なら周波数はどうか)が異なる場合がある。車両を異なる電圧や種類に対応できるようにすることはできるが、架線をつないでしまったらいかんわけだ。

よって、送電する区間を分けてその境目は電気を送らず区間をスムースに移動できるようにしているのである。
境目を通るとき送電は一瞬途切れるのであるが、複数のパンタグラフで電気を受けていればどちらかから受電できるし、境目を惰性で乗り切る方法もある。昔の電車で車内の照明が何秒か切れる電車があった。あれだ。

当然この境目は電気的に不安定だ。片方から離れ片方にくっつくわけである。
本来そこは停止してはいけないエリアだった。すっと抜けろよと。
ところが間の悪いことに横浜で花火があって先行する電車が遅れており、信号(ATC)が指し示す停止場所より前で停止したらしい。おそらく、中途半端な場所で止まると駅に向かって出発から加速減速で停止ということをせねばならず、スムースな運転にならぬと判断したのではなかろうか。

停止してはいけないエリアで停止し、再発進のときに過大な電流が流れて架線が溶断したらしい。

JRは再発防止策として、そうしたエリアで停止しないように社内教育を強化すると言っているがしかし。

====
事故は避けがたいものではある。だが同じ事故を繰り返さない、それが無理なら事故が起きても被害を小さくするというのが進歩というものである。

パンタグラフを架線に押し付けるだけで電気を取り込もうってのだからあやふやといえばあやふやな方式である。新幹線とて同じだ。電気を確実に流すならネジで止めてはんだ付けしなくては安心できないのだが、それでは電車は走れない。
架線はつりさげた針金に過ぎない。
まっすぐにつりさげられた架線に電極たるパンタグラフを押し付けるだけでなにが難しいと思うかもしれないがこれが難しいのである。
確実に電気を得るためにはある程度の力で架線にパンタグラフを押し付けねばならない。触るか触らないかではぱりぱりと火花が散ることだろう。電流も安定しない。
押し付ける力があるということは架線を持ち上げる力を掛けるということである。
架線を持ち上げるということは架線に波を作るということになる。ぴんと張った糸をつかんで振れば波が左右に伝わっていくだろう。それと同じだ。

波はそれを伝える媒体(空気とか水とか)によって伝播速度が異なる。
架線で言えばある場所でパンタグラフをぐっと持ち上げた波は一定の速度で架線を伝わっていくということだ。
軽くて細い架線ほどその速さは速い。また架線を張る張力が強いほど速い。
電車が高速化するとこの波の速度を電車の速度が超えることがありうる。作った波が伝わって減衰する前に後から後から新しい波を作るわけである。エネルギーが逃げずにたまって崩壊する。これは音波における音速の衝撃波と同じ理屈だ。
フランスのTGVが速度記録を作った時、架線は細く限界まで強く張ったという。そうでないと電車の性能が高くても架線が持たないわけである。

では架線を細く作り強く張ればいいではないかというとそうもいかない。
常に金属とこすれあう架線は擦り減ってしまう。それに耐える太さが必要だ。
強く張ることはいいことなのだが、結局それに長時間耐えるには太さが必要になる。

無論、余裕を持った設計にしているはずだが、最終的に架線事故は起きるものだ。
なにか機械的にボックスに収めて管理できるものならまだしも、野外に暴露されるものだからいろんな要因でトラブルは起きる。雪が降ってもいかんのだろう。


====
ならば事故が起きても被害が最小になる仕組みづくりだ。
今回かなり間が悪かったといえる。
20時ごろといえばまだまだ帰宅客が多い。さらに横浜の花火大会。
そこへルールに反して車外に出た馬鹿者。

車外に出た馬鹿者はもはやひき殺しても鉄道会社おとがめなしでどうだ。面倒だから積極的に射殺したらいい。極論で受け入れられないのはわかっているがそのくらいの勢いなのだ。先に書いた通り、影響を受けた35万人のうち30万人くらいはこいつのせいだ。逮捕し、賠償をさせるべきだ。
私の場合、この馬鹿がいなければ東海道線は動いていたわけで多少混んだり遅れたりはあったとしてもこんなことにはならなかったのだ。
時間もかからなかったし、異常な混みようの迂回路に回る必要もなかったし、疲れ果ててタクシーに乗ることもなかった。翌日にも尾を引いた。
実費+慰謝料で10万円と言いたいところだが、精神的な部分は置いといたとして実費と時給で2万円はいただきたい。

で、かけることの30万人だから60億円である。これにJRと影響を受けた鉄道会社の被害も請求したらいい。100億円くらいか。
まぁこれは極端な試算にしても被害は数億では済まない。鉄道会社の指示を無視して車外にでるということはそのくらいのことだと周知徹底すれば抑止力になる。
それにしても今回の馬鹿は逮捕して責任を追及すべきだと思うのだがどうなっているのか報道はない。

横浜で花火大会をしていたというのも間が悪い。
いや間が悪いで済ませていいのか。
人口稠密地で、多数の電車路線が入り混じるような場所で人を集めるイベントをすること自体がすでに間違っているように思う。花火大会は閑散地で行い、地域振興の一助にすべきだ。
横浜やら隅田川やら開催地の周辺をみよ。都市が停止するほどの混雑だ。これはいけない。
人が集まるというのはある意味危険なことだ。
明石花火大会歩道橋事故を忘れたか。死者11人を出す大参事だ。
都会だからと既存の(イベント規模に比べれば脆弱な)交通インフラに安易に依存したからこそ起きた惨事だ。
閑散地でイベント規模に応じた交通の手当てをして(バス大増発とか)体制を整えるのが正しい。

もちろん、隅田川の花火大会は来年から夕張市で行いますでも成り立たないだろう。閑散としているたとえに夕張市を出してごめんね。
せめて既存の交通インフラに頼らず、イベントごとに自前の強化策を持ってもらいたいものだ。電車が全部止まっても大丈夫な仕組みを。電車を日常の通勤の足にしている人にとっては迷惑なことであるのだ。

まぁ商売が絡んでいるので横浜で花火をやるなと言っても効く耳持たないだろう。
我々ができるのはそうした混雑を招くイベントに近づかないことだ。歩いてでも帰れる保証がない限り近づくべきではない。奴らは時として都市インフラを破壊するのである。
そう理解したらいい。
posted by Mozzo at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | まじめな正論! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。