2015年06月21日

ジェネリックって単に安いというわけじゃない

偉そうに初回の投稿をしたサブテーマ患者のプロである。
今回はジェネリックの話をしたい。

ポイント:
・ジェネリックは単に安いだけではなく特性がある
・患者の状況により使い分けるべき
・製薬会社も細かいニーズに合わせてさまざまに工夫してほしい

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ここ数年で病院に行って処方を受けたことがある人は薬局で「お薬をジェネリックにしてもよろしいでしょうか」と聞かれたことがあるかもしれない。
といわれても判断するだけの知識があるのか。

ジェネリック医薬品とはなんぞや。

薬と言われるものは、薬局で処方箋に基づいて処方される処方薬と、処方箋がなくとも買える一般薬に分かれる。

一般薬には「総合」と名のつくものが多い。総合感冒薬なら熱も下げ、咳も抑え、のどの炎症を抑えとさまざまな成分がいい具合に含まれている。一方で処方薬はそれぞれがピンポイント、つまり有効成分は1種類が多い。無論例外もあるのだが。
処方薬は医師が患者の症状に応じて必要な有効成分だけを組み合わせて投薬できるというわけだ。

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さて、この有効成分というものがキーワードである。
有効成分とされるものは、複雑な分子構造を持ち、複雑な製法を必要とし、特許を伴っている。単純な構造で簡単に作られるものは特許制度前からあったか、とっくに特許を失っているだろう。

新しい有効成分を開発した企業には特許が認められる。
そして成分の構造や製法を公開した見返りに一定期間市場の独占が認められる。
その見返りが妥当かどうかは程度の問題で議論はあろうが妥当な構造だろう。こうして発売された医薬品を先行薬という。

市場が独占されるため先行薬は高価だ。巨額の開発資金を回収するために必要なことかもしれぬが私見では高すぎるとは思う。

それでも特許は永遠ではない。特許が切れると同じ有効成分の薬を他社が売り出すことができる。これがジェネリックである。
ジェネリックとはいえ検査がないわけではないが、開発費用が上乗せになっていない分割安にできる理屈だ。競争も生まれるから先行薬も値下げするかもしれない。先行者も損をしない妥当な競争だ。どうせ開発費用はとうに回収しただろうし、開発費用すら回収できない薬には誰も参入しないだろうし。

それで医療費の膨張に苦しむ国がジェネリックの使用促進に動いているわけである。
まぁそれはそれでいい方向だと思うのだが国も患者も理解が甘いと思うのだ。

製薬会社が暴利をむさぼっているのではないかという批判は別の機会にしよう。ジェネリックそのものについてまずは考えよう。

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ジェネリックは先行薬と同じ有効成分を使っている。それは事実。
だから先行薬と同じなのである。しかも安い。故にジェネリックを使いましょう。それが推進派の論理である。
一方で反対派の一部の専門家はジェネリックは信用できないという。全く同じものではないし実績もない。先行薬限定で処方するという医師もいる。

どちらも裏に経済的な理由があるように見えて仕方ないのだがどちらの言い分も微妙におかしい。

まず先行薬とジェネリックは同じものかといえばそうではない。あくまで有効成分が同じと言っているだけだ。

ではどんな違いがあるのだろうか。

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処方箋をじっくり見たことがある人ならきづくかと思うが、たとえば錠剤の処方は有効成分の重量にしてみると1錠あたりmg単位であるのだ。中には0.1mgレベルのものもある。
一円玉が1gであるのでその千分の一。錠剤もかなり小さく軽いがさすがに1mgということはあるまい。15mgの薬も0.3mgの薬の大きさは対して変わらないし逆転していることだってある。
つまり一つの錠剤には有効成分以外のものが含まれているのである。それは製品によって違う、ということだ。
先行薬をつくるメーカーであっても1有効成分=1製品ではない。同じ有効成分の薬を使っていても、カプセルと錠剤を発売していることもある。どう見ても全く同じものではない。ましてやメーカーが違えば違いはある。

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有効成分以外のものが含まれているというと何か悪いものがという感じになるのだが誤解なきよう。
まずある程度増量せねばならないということだ。

私が飲んでいる薬は一錠あたりの有効成分が0.1mgオーダーのものがある。その重量で人間の体調を何時間かコントロールするというのだから化学の世界は不思議なものだ。
有効成分100%の薬を作ったとしたら到底扱えるものではない。重量にして一円玉を一万分の一にしたレベル。アルミより比重が軽いとしても容積にして千分の一になるだろうか。まったくもっていい加減な概算だが。
一円玉の直径は20mmだそうだ。
平たい円柱と考えて底面積は20×πで...約63mm^2(平方ミリメートル)であるな。
で、高さは1.5mm
つまり約94mm^3(立法ミリメートル)である。つまり1mm角の粒が約94個でできているということ。
その千分の一。えーと。計算が。
1mm角の94倍の1/1000だから、大雑把に1mm角の1/10の容積ということであるな。大体のオーダーがわかればいいのよ。0.1の三乗根はえーと。今、関数電卓がない。0.5mm角で1/8だからまあそんなもん。金属の中では比重が軽いアルミの10倍の容積という大雑把な見積りであるから、0.5mm角よりずっと小さい。砂粒のようなものだ。計算あってる?
こんなものを日常で扱えるはずがない。若い人でもピンセットとルーペがなければどこかに行ってしまう。ましてや目も指先も衰えた中高年では「ないのと同じ」だ。

えーとなんの話をしていたのか。そう、薬には増量剤がいるという話。
人間が扱える大きさということであれば小さくとも数ミリの大きさがないと無理だ。そこで澱粉とかなるべく人間にも有効成分にも害のない増量剤を使う。これは先行薬とジェネリックとで同じとは限らない。

また、濃度の問題で増量つまり薄めているということもある。濃すぎると弊害がある場合もある。
たとえば、関節の痛みなどに使うインドメタシン配合の塗り薬がある。
最初は処方薬だったと記憶しているが最近では一般薬になっているようだ。で、「インドメタシン1%配合!」とか有効成分の濃さを売りにしたCMが流されていた。
ちょっと抜けている知人は「ケチらんと100%にしたらいい」と言ったので大笑いした。そんなもの塗ったら体がどうななってしまうよと。
飲み薬だって濃すぎれば粘膜を傷めるものもあろう。

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前述のとおりカプセルと錠剤も違うし、錠剤でも増量剤の内容が違う。
ここに二つの意味がある。

一つは後ろ向きの話で、有効成分以外の成分が患者に害をなす可能性があるということである。医療用であれば高度に精製されたものを使うだろうが、アレルギーの危険は残る。ことにカプセルに使われているのはゼラチンである。蛋白質には必ずアレルギーを心配せねばならない。
脱線するがゼラチンと言えば動物原料から作るのではなかろうか。アレルギーはなくとも豚由来、牛由来など宗教的にこだわる人が問題にするかもしれない。

もう一つは前向きな話で、こうした有効成分以外の「デザイン」に差があるということである。
単に有効成分が入っていればいいというものではないのだ。有効成分が同じだから同じ薬というのは単純なのである。
まずDDS(Drug Delivery System)という観点がある。
即座に溶けて胃どころか食道粘膜にも働きかけるということもできるし、胃では溶けずに腸で溶けるということもできる。溶けてもじわじわ吸収されるということもできるし、即座に吸収されるということもできる。
早ければいいとか遅ければいいというものではなく、患者に合ったものを使うのが当然である。人によって病状も違えば消化器の働きも違う。

また、薬の飲みやすさという観点もある。
たとえば同じ有効成分でもカプセルもあれば丸い錠剤もあるし、長円形のカプセル錠(カプセルではないがカプセルと同じ形に成形されている)もある。
有効成分の量の関係で大きくなると丸い錠剤ではのみにくいからカプセルやカプセル錠がいいという場合もある。
また有効成分の量によっては一度に2錠飲まねばならぬところは、別の会社の薬なら1錠で済むこともある。
XX15mg錠を1回2錠と、XX30mg錠1回1錠は同じことだ。
あるいは嚥下力の衰えた人には、粉薬と投薬用のゼリーがあっていることもある。

私の経験でも、当初OD錠(口内崩壊錠)を処方されていたのであるがカプセルに変えてもらったことがある。
OD錠にはすぐ溶けるようにするためか味をごまかすためかアスパルテームが使われている。その甘さが嫌で(甘いものが嫌い)いーっとなるので。わがままにも聞こえるかもしれぬが、毎日飲む薬なので可能なら変えたいのだ。ちなみにアスパルテームはL-フェニルアラニン化合物であり一般に安全とされているが、危険性を指摘する声もあるし、一部の病気にはよくない。

そうした患者に合う合わないを選ぶためにもジェネリックの充実は望まれるし、場合によっては先行薬を選べばよろしい。
ジェネリックを作る会社も単純に特許が切れて儲かる薬だからというだけではなく、こうした患者の細かいニーズに応えるものを追求してほしいものだ。まずくない(味がしない)とか、水なしで飲めるとか、1錠だけで済むとか、食事に混ぜられるとか、飲み込まずともなめていればいいとか、飲まずとも肌に貼っておけばいいとか、イスラム教徒でも安心とか、いろいろ切り口はあると思う。

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幸いなことに有効成分が同じであれば、医師の処方と異なる薬を薬剤師が選ぶこともできる。
たとえば錠剤をカプセルにすることもできるし、メーカーを選ぶこともできる。在庫がない場合もあるけれど。
薬の飲みやすさとか値段については医師より薬剤師の方が詳しい。相談して薬を選べばより望ましい患者ライフになる。
無論、その希望と選択の結果を医師にフィードバックすれば処方箋に反映されて面倒もないし、医師にも情報が蓄積される。
知識を持ったうえで医師と薬剤師に接したらいかがだろうか。
posted by Mozzo at 06:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 患者のプロ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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