2015年12月12日

偽装肥料に偽装有機農法 真に悪いのは全農

肥料会社が有機肥料に対して「成分調整」をした問題、つまり偽装問題である。
記事が長いので末尾に引用する。この記事はいわば続報で、誰が補償するかとかそういう話になっている。
話がずれていると感じる。

別の報道ではなにも儲けようとして偽装したわけではないという。
なんでも作った肥料が固まってしまう問題があったらしい。そこで別の成分、例えば石灰とかだろうか、成分を調整して解決したらしい。
そうした問題も本来であればじっくり熟成させれば回避できたものだが、納期に追われてやむなくやったようだ。
むろん何とか納品して利益を失わないようにした行為であって、利益のためにと言えなくもないが状況に追われてという感じがする。

もちろん嘘はいかん。一義的には肥料会社が悪い。
だが、そういう状況を作った側は責任を負わなくていいのかと思う。

有機肥料とか有機農法といえば、自然に逆らうことなく自然に人間が合わせていく形であるとなんとなく思っている。有害な化学物質を含まず、自然に育った作物は味も栄養も優れているとなんとなく思っている。

自然に逆らわないなら「納期」なんてものが成り立つはずがない。
自然が「まだだ」といえばまだなんである。気温や湿度、ミミズや小さなダニやらトビムシやらカビやら細菌やら。落ち葉や野菜くず、稲わら、家畜の屎尿などなどを分解して肥料にする作用は毎年同じであるはずがまい。
また、注文が増えたら増えただけ応えられるものでもない。

それを商売とか契約とかそういう話にもっていったのはだれなのだ。全農が悪いんじゃないのか。
自然に寄り添う農法なら、その年の状況に応じて量も時期も変えていくのが農家をリードする立場の責任じゃないのか。

だいたいこんな安っぽい方法で「有機でござい」というのは「消費者にとっても農家にとっても環境にとっても安心安全な農業。そしてよりおいしいものを」という動機からとは思えない。
高く売れるよと農家をだまくらかし、肥料の販路を確保したんじゃないのかという気がする。邪推だろうか。
本当に安全安心を目指しているなら肥料メーカーに丸投げなんてことをするだろうか。

====
再度いうが有機農法といえば自然に寄り添う農業だと思ってしまう。
研究熱心な農家が、田畑を耕し、家畜を飼い、野菜くずや稲わらなどを家畜に与え、糞を得る。それらを積み重ね熟成させ有機肥料たる堆肥を得る。
それを田畑に還元する。

そういうものだと思ってしまうではないか。

それを全農があっせんした肥料をまけば「有機農業」だなんてイメージが狂う。
肥料会社が作ろうが、農家が個人で作ろうが、成分として大差はないといえばないのだろう。今回のような偽装がなければ成分も均質であろう。
さらに農家にとっても「あれもこれも全部自分でやる」というのは効率的ではない。肥料づくりはアウトソースして家畜も飼わない。田圃の手入れに特化すれば効率はいいだろう。

だが、消費者が「有機農法」に求めるのは高々成分が整っているとか、農薬が残留していないとかそういうことなのか。

意識の高い農家が入口から出口まですべてに目を光らせて作り上げたということを買っているのではなかろうか。だからこそちょっとお高い野菜などに「私が作りました」と顔写真を載せたなんてのが宣伝文句になるわけだ。

そんなやり方では規模も小さくコストが高く、手ごろな値段で提供できないという意見もあろう。農協が提供する肥料や飼料を買い、そこで楽した分農家は規模拡大して収入を増やすのだと。
本当にそうなるのだろうか。

規模拡大して農家の収入が増えているというより、農協に払う飼料代、種苗代、肥料代、農薬に機材にエトセトラ。こういうお金に消えていくのではなかろうか。
農家は農協に首根っこを押さえられている。農薬なんてのはホームセンターで買うほうが安いという声まである。だが、銀行口座まで押さえられていて、よそから買えば一発でばれる。

飼料も肥料も自家製。牛を飼い、鶏を飼い、野菜もコメも大豆も作る。小規模に。これで食べていけないのだろうか。売り上げより経費ダウンで利益確保。
当然閉じた農家の敷地内だけでは土地がやせていくだけなので、外部から里山の落ち葉やら下水処理場の汚泥、食品産業からの廃棄物などリンやカリウム、窒素の循環を図る必要はある。それらはお金を出して買うというより、お金をもらって引き取ることもあろう。

農林水産業は国の柱だ。食料をはじめとした生物資源を育てる重要な産業だ。ここを他国に頼って長く持った国はない。
ほかの資源と違って貯めておけないし、なければ人が死ぬ。そこを外国に押さえられたら戦略的に揺さぶられるのだ。

また、こうした生物資源が世界で不足していることを考えれば、日本で生産できるものは日本で生産するのが日本の責任だ。

やり方は一種類ではあるまい。北海道や関東平野、濃尾平野など平坦地が広がる場所では既存の住宅や工場、店舗などを取り除いてでもまとまった平坦な土地を作り、大規模な農業でコスト競争をすべきなんだろう。
一方でそうはいかない場所もある。平坦な土地がそもそも少ないとか、交通の要衝で、農地候補を分断しているとか。
そこで小規模でも付加価値のある高級な作物を育てるのである。
幸い日本人は日本の産物を信用している。納得できるものなら高くても買う層はいる。そこをまっとうに狙わずしてどうするとおもう。

今回の事件に立ち戻れば責められるべきは全農であり、今後業務の縮小(購買なんて取りまとめなくても企業にやらせればいいのだ。JAバンクもいらん)や組織の縮小(あの暇そうにしている専従の職員は何なのだ)をせねばなるまい。
農協に求められ農協にしかできないことだけをやればよろしい。
例えば有機農法のお先棒を担ぐ必要なんてない。農家がそれぞれ工夫すればいいんである。肥料を買うにしても個別に買えばよろしい。農協は「個別に買うと高くなる。農協がまとめるから安くなる」というのは「ホームセンターで買ったほうが安い」という事実に対し説得力がない。共同購買するためのコストてのもあるわけでホームセンターにかなうわけもない。
有機農法を志してもやり方とか肥料の成分分析とかが不安な農家に指導するところだけ残してあればいいのだ。農協職員の多くはペーパーワークだの会議だのをやめて現場に向かっていただきたいものだ。


産経新聞から記事引用======
「何だよ、この野郎!」と秋田知事も激怒 肥料会社の再生法申請で農家は泣き寝入りか…有機農産物の認証失う恐れ

 全国農業協同組合連合会(JA全農)が東日本11県で販売した有機肥料の成分表示が偽装されていた問題で、製造元の太平物産(秋田市)が11月27日、秋田地裁に民事再生法の適用を申請した。偽装によって、肥料を使った農家が有機農産物や特別栽培農産物の認証を失ったり、補助金を受けられなくなる恐れが出ている。太平物産がなくなると、農家への補償は誰が行うのか?

補償総額は30億円以上か

 「関係先と協議して取り組んでいきたい」。再生法適用申請を発表した記者会見で、太平物産の佐々木勝美社長は補償の見通しについて、そう語った。

 代理人の粟沢方智(あわざわ・まさのり)弁護士は、太平物産の負債総額は現時点で約33億円とした上で、補償額は「それと同額くらいか、それ以上」との見通しを示した。

 販売元の全農は、「有機農産物」などとしていたラベルの貼り替えが必要となった場合の費用や、価格を安く販売しなければならなくなった場合の差額などを補償する方針を発表した。その費用は後で太平物産に請求することになる。
 では、太平物産はその金をどうやって賄うのか。粟沢弁護士は「事業を継承していただけるスポンサーの下で再開、継続し、太平物産は清算する方針だ。事業譲渡の代価や資産の処分によって(全農など)債権者への配当の原資を作る」と述べた。

 東京商工リサーチは破綻の原因を「放漫経営」と指摘した。民事再生法適用申請は会社存続のための保身ではないのかとの質問に、佐々木社長や粟沢弁護士は、破産手続きだと企業の価値が下がり、補償が十分にできないと説明した。

「何だよ、このやろう」

 秋田県の佐竹敬久知事は24日の定例記者会見で、偽装問題について「『何だよ、このやろう』という気持ちを持っている。最終的には民事なのか、刑事なのか、しっかりと責任を取ってもらわなければならない」と太平物産への怒りをあらわにする一方で、補償は全農が対応すべきだとの認識も示した。

 税金の投入はあるのだろうか? 20日の知事と県議会自民党会派との協議会で、鈴木洋一県議は「太平物産だけで補償に応じるのは不可能。国や県、全農が対応すべきではないか」と知事にただしたが、知事は「商業ルールから言うと、一義的には販売者の全農に責任がある。全農には力(資金力)がある」と、公的資金の支出を否定した。
 森山裕農林水産相も20日の記者会見で「表示が不適切な肥料を販売して生産者の皆さんに迷惑をかけたことは誠に遺憾」と全農の責任を指摘した。

全農がかぶることに?

 東京商工リサーチによると、太平物産の債権者のうち、金融機関を除いて債権の額が最も多いのは現段階でも全農で、3億6642万円。これに補償額が加わると、最大の債権者となるのは確実だ。

 粟沢弁護士は事業継承のスポンサー候補に全農は含まれていないとし、全農による救済を否定した。

 「全農も含めて、債権者の皆さんにはほぼ間違いなく、一定の債権放棄はお願いせざるを得ない」と説明。30日に秋田市内で開かれた債権者説明会でも、集まった債権者に「全額を返済するのは困難」と一部放棄を求めた。

 全農に販売者としての責任があることはもちろんだが、全農関係者は「農家への補償を全面的にかぶらなければならなくなるかもしれない」と困惑している。

 全農に多額の損失を与えることについて、佐々木社長は「本当に申し訳ないという気持ちでいっぱいだ」と話したが、謝って済ませるには、あまりにも影響は大きい。(渡辺浩)
posted by Mozzo at 17:37| Comment(0) | TrackBack(0) | まじめな正論! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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